婦人科の医師

結婚前に婦人科系の病気を調べるブライダルチェック

結婚後に多くの夫婦は赤ちゃんを希望します。しかし、晩婚化の傾向が高まっている近年の日本では、女性の初産の年齢が上昇しているため、子宮や卵巣の病気、性病(STD:クラミジア、淋病、ヘルペスほか)、貧血など不妊や早産、流産に繋がるトラブルを抱えているケースも少なくありません。

問診する婦人科医

そこで妊娠に悪影響を及ぼす婦人科系の病気がないかを婦人科で検査する、「ブライダルチェック」が注目されています。ブライダルチェックは、いわば婦人科系の人間ドックという感じで、最も発見される頻度が高いのが、性病、特にクラミジアです。

クラミジアは、サラサラしたおりもの、黄色いおりもの、セックスの挿入時の痛み、下腹部痛といった、家庭の医学書で紹介されている症状が現れる女性は少なくなっており、約70~80%の感染者は自覚症状を感じていないとされています。感染に気がつかないということは、初期の子宮頸管の炎症で治療する機会はなく、子宮、卵管・卵巣と感染が拡大し、不妊症になる恐れがあるということです。

またセックスの際にコンドームを着用していないカップルの場合、知らないまま男性パートナーも感染させてしまうことも少なくありません。さらに20~30代の女性の過半数がセックスの度にフェラチオを行っているとされる近年では、喉へのクラミジアの感染が増えています。このような背景もあり、国内のクラミジア感染者は推定で約100万人いるとされています。

ブライダルチェックの検査項目は、医療機関によって異なりますが、一般的には以下のようなものがあります。なおブライダルチェックは、人間ドックと同様に健康な人が検査対象となるので、健康保険は適用されません(全額自己負担で2~5万円程度)。

問診
婦人科の医師が受診者に直接、月経周期や妊娠および出産の経験、既往歴(これまで罹った病気)、薬歴、アレルギーの有無などを訊きます。場合によって、セックスに関する恥ずかしい質問をされることがありますが、子宮や卵巣の異常を知る上でのヒントとなるものですので、正直に答えましょう。問診は普段、誰にも訊くことのできないデリケートな悩みを相談できるチャンスでもあります。

血液検査
血液型をはじめ、肝機能の検査(GOT・GPT、γ-GTPほか)やC型肝炎ウイルス (HCV抗体検査)、B型肝炎ウイルス (HBs抗原検査)、妊娠中に感染すると胎児に障害が残る可能性がある風疹の抗体検査、HIV抗体検査、またこの数年で患者数が激増している梅毒の感染有無も調べます。

血液検査では、貧血の有無とその状態を調べる赤血球数やヘモグロビン量も大切な検査項目となります。過度なダイエットや偏った食生活などにより、若い女性の約40%は貧血の原因となる、鉄欠乏の状態ににあるとされています。妊娠中は赤ちゃんの発育のためにも多くの鉄分が必要となるため、さらに鉄欠乏が悪化することになります。このような状態が続くと、流産の原因になります。

クラミジアの検査
膣分泌液を採取して、顕微鏡で拡大し、原因菌であるクラミジア・トラコマチスに感染していないかを調べます。前述のように妊婦さんのクラミジア感染は不妊、早産・流産の原因になります。また出産時に産道で新生児に感染して、重篤な肺炎を引き起こすこともあります。

トキソプラズマ検査
トキソプラズマという寄生虫に妊娠中に感染すると胎児に障害(水頭症・肝臓や脾臓の腫大など)が起きるリスクがあります。

子宮・卵巣のエコー検査
膣内にプローベと呼ばれる超音波の探触子を挿入して、子宮や卵巣を至近距離から映像に映し出すことで、子宮筋腫や卵巣腫瘍がないかを調べます。

不妊の原因は女性だけじゃない!男性もブライダルチェックが必要

不妊症の原因の大半は女性にある、と誤解している人が多いのですが、実際は原因の約40%は男性側にあります。主な原因としては精巣上体炎、乏精子症、無精子症、精子無力症、勃起不全症(ED)などです。

性病の感染は男性不妊の原因に

精巣上体炎はクラミジアや淋病の感染による炎症で精子の通り道が塞がってしまうもの、乏精子症は精子の数が非常に少ないため、なかなか受精に至らないもの、無精子症は射精しても精液の中に精子が全くないもの、精子無力症は精子の数に問題はないけれど、その活動能力が弱いため、受精まで至らないもの、勃起不全はペニスが勃起しないためセックスができない状態です。

勃起不全以外は精子の検査ですので、精液を検査する必要があります。禁欲生活を3~5日ほど送った後にマスターベーションで精子を採取して、顕微鏡で観察します。WHO(世界保健機関)では正常な精液の基準として、精液量を2mml以上、精子数を2000万/mml以上、運動率を50%以上、奇形率を50%以上と定めています。

医療機関で精液を採取するのに心理的な抵抗があるという男性も少なくないため、現在は自宅で採取して持参することも可能です。しかし、新鮮な状態の生死を調べる必要があるため、採取後2時間以内に検査ができるという条件がつきます。

男性はなかなか不妊症の検査を受けようとしないものですが、パートナー双方が検査を受けないと意味がありません。最近は男女ペアでブライダルチェックの検査コースを設けている婦人科が増えていますので、二人三脚で妊娠を実現するためにも一緒に検査を受けてみましょう。


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