婦人科の医師

性感染症の傾向:クラミジアと淋病が若い男女に流行中

セックスで感染する病気は、濃厚で密接な接触を介して微生物に感染する病気と考えられていた時代には、性病と呼ばれていました。当時は「性病予防法」によって、梅毒、淋病、鼠径リンパ肉腫、軟性下疳の4つが性病と定義されていました。

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しかし、ライフスタイルの変化により、性病は決して限られた職業や集団に属する人だけが感染する病気ではなく、セックスの経験があれば誰でも感染リスクがあることがわかってきました。これを受けて、社会全体の性病への偏見をなくすため、1999年の「感染症法」の制定とともに法律上は、性病の呼び名はなくなり、性感染症(STD)と呼ばれるようになりました。

性感染症に分類される病気も、上記の4つのほかにも性器クラミジア、性器ヘルペス、膣トリコモナス、膣カンジダ、尖圭コンジローマなど、HIV感染症(エイズ)など大幅に増えました。性感染症の感染源となる微生物は、精液、膣分泌液、体液、血液などに含まれており、セックスにより性器や泌尿器、肛門の粘膜を介して感染します。

近年の特筆すべき傾向としては、オーラルセックス(主にフェラ)を介してクラミジアと淋病が喉に感染する女性が増えている点です。20代、30代の女性のおよそ30%はセックスをするたびにフェラをしているというデータもあり、また症状が現れにくいこともあり、喉の性感染症は今後も増えることが予想されます。

セックスの経験があれば誰しもが性感染症のリスクが生じるということは、性的活動が活発な20~30代の年齢層は特に注意する必要があります。特にこの年代の女性の場合は、妊娠・分娩を経験するため、性感染症が母子感染して新生児が重い結膜や肺炎に罹ったり、流産や早産になってしまうこともあります。また性感染症によって子宮頸管や卵巣に炎症が起きると、不妊症になる恐れもあります。

そのほか、セックスの低年齢化が進んでおり、十分な性知識を持たない10代にも性器クラミジアをはじめとする性感染症が拡大しており、感染対策に関する教育の重要性が問われています。

のどの痛み、腫れなどの症状

近年、国内で流行している性感染症はクラミジアと淋病で、いずれも①フェラで喉に感染した女性が増えている、②放置していると不妊症の原因となるという共通項があり、大きな問題となっています。

フェラならば「通常のセックスのように妊娠のリスクはなく、性病の感染リスクもない」と多くのカップルが誤った認識をしていることも、感染拡大の大きな理由です。男性の精液中に存在するクラミジアや淋菌はフェラを介して、女性の喉の粘膜に接触することで簡単に感染します。

厚生労働省による動向調査では性感染症の発生数の統計がとられていますが、興味深いのはクラミジアは男女でほぼ同数の報告数があるのに対し、淋病は女性が極端に少なくなっています。

これは、女性の淋病は自覚症状が弱いため、婦人科などの医療機関を受診していいないことが理由と考えられており、実際には多くの女性が淋病に感染していて、本人が知らないまま男性パートナーの感染源となっていると推測されます。

特にピンサロなど口を使った類似性行為を提供するサービスで働いている女性は喉に淋菌が感染しているケースが多く、男性の淋病の感染ルートの約半数はピンサロともいわれています。


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